ポアソン分布の性質をまとめました【東大生による解説】
今回は、ポアソン分布の性質について詳しく説明していきます。
ポアソン分布は、地震の発生回数や雷が人に落ちる可能性などが表現できる分布です。
*厳密にランダムな事象とは、起こる確率が常に一定という過程があるので地震や雷はその条件に該当しないので参考程度に理解してください。
この記事では、ポアソン分布の性質と統計量を具体的に式を使って解説していきます。
では、解説していきます。
*(iphone・Androidの方へ)数式はスクロール可能です。
ポアソン分布の性質
まず、ポアソン分布の基本的な性質を理解しておきましょう
以下のステップで解説していきます。
- ポアソン分布とは
- ポアソン分布と二項分布の関係
- ポアソン分布のずれの定式化(ファノ因子)
ポアソン分布とは
ポアソン分布は、ごく稀に生じる事象がある時間内にn回生じる確率を表し以下のように定式化できます。
$$ p_{\lambda}(n) = \frac{\lambda^{n}}{n !} e^{- \lambda} ~~~(n = 0, 1, \cdots ) $$
ポアソン分布と二項分布の関係
実は、二項分布はある条件下でポアソン分布に近づきます。
その条件は、\( \lambda = N p \)を一定に保ったまま、\(p\)を十分小さく(起こりにくくする)、\(N\)を十分大きく(レア度をあげる)とポアソン分布に近づいていきます。
具体的に証明していきます。
二項分布に現れる因子は、\( N p = \lambda \)を一定に保ったまま\( N \rightarrow \infty \)とすると以下のように式変形できます。
$$ {}_{N} C_{n} = \frac{N !}{n! (N-n)!} \sim \frac{N^{n}}{n!} $$
$$ (1 – p)^{N-n} \sim (1 – p)^{N} $$
すると二項分布は以下のように表すことができます。
\( \lambda = N p\)を用いて\( p \rightarrow 0 \)とすると
$$ p_{\lambda}(n) = \frac{\lambda^{n}}{n !} \left[ (1 – p)^{\frac{1}{p}} \right]^{\lambda} \sim \frac{ \lambda^{n} }{n !} e^{ – \lambda } $$
ポアソン分布に一致しましたね。
ポアソン分布のずれの定式化(ファノ因子)
ポアソン分布からのずれを表すファノ因子\(F\)は以下のようにある確率分布の分散を平均値で割ったもので定式化できます。
$$ F \equiv \frac{\langle ( x – \langle x \rangle )^{2} \rangle}{\langle x \rangle} $$
ポアソン分布の時は\( F = 1 \)となります。
\( F < 1 \)の時をサブポアソン、\(F > 1 \)の時を超ポアソンといいます。
ポアソン分布が確率分布の性質を満たしているかを確認
確率分布は、\( \sum_{k = 0}^{\infty} p(k) = 1 \) が成り立ちます。
ポアソン分布がこの性質を満たすことを確認します。
$$ \sum_{k = 0}^{\infty} p(k) = \sum_{k = 0}^{\infty} e^{- \lambda} \frac{\lambda^{k}}{k !} $$
ここで、\(e^{\lambda} \)のマクローリン展開の性質を使います。
$$ e^{\lambda} = \sum_{k = 0}^{\infty} \frac{\lambda^{k}}{k !} = e^{ – \lambda} e^{\lambda} = 1 $$
ポアソン分布の平均と分散
ここでは、ポアソン分布の平均と分散を求めていきます。
以下の手順で求めていきます
- ポアソン分布の平均
- ポアソン分布の分散
ポアソン分布の平均
ポアソン分布の平均を求めていきます。
$$ \langle k \rangle = \sum_{k = 1}^{\infty} k e^{ – \lambda} \frac{ \lambda^{k} }{ k !} = \sum_{k = 1}^{\infty} e^{ – \lambda} \frac{ \lambda^{k}}{ ( k – 1 )!} $$
シグマの範囲を変更します。
$$ \sum_{k = 0}^{\infty} e^{ – \lambda} \frac{ \lambda^{k+1}}{ ( k )!} = \lambda \sum_{k = 0}^{\infty} e^{ – \lambda} \frac{ \lambda^{k}}{ ( k )!} = \lambda $$
ゆえに、平均値は
$$ \langle k \rangle = \lambda $$
キュムラント母関数を使用するともう少し簡単に求めることができます
『キュムラント母関数』については下記を参考にしてください
ポアソン分布の分散
ポアソン分布の分散を求めるために以下の関係式を使用します。
$$ \langle ( k – \langle k \rangle ) \rangle = \langle k^{2} \rangle – \langle k \rangle^{2} $$
\( \langle k \rangle \)は求まっているので、\( \langle k^{2} \rangle \)を求めていきます。
シグマの範囲を変更します。
$$ \sum_{k = 1}^{\infty} k e^{ – \lambda } \frac{ \lambda^{k}}{ (k -1) ! } = \sum_{ k = 0}^{\infty} (k+1) e^{ – \lambda} \frac{ \lambda^{k + 1} }{ k ! } $$
あとは、平均の時と同様に計算すると
$$ \langle k^{2} \rangle = \lambda ( \lambda + 1 ) $$
あとは、\( \langle ( k – \langle k \rangle ) \rangle = \langle k^{2} \rangle – \langle k \rangle^{2} \)に代入すると分散は以下のように求まります。
$$ \langle ( k – \langle k \rangle ) \rangle = \lambda $$
まとめ
ポアソン分布の基本的な性質と平均・分散を具体的に数式を用いて解説しました。
手を動かしながら、どれも自分で再現しながら演習しましょう。
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