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キュムラント母関数とキュムラント展開【様々分野への応用のために】

キュムラント母関数とキュムラント展開【様々分野への応用のために】

 

Yuma
Yuma
確率分布を特徴つける量の1つであるキュムラントについて解説していきます。

キュムラントは、確率分布を特徴つける量の1つで様々な分野で重要な役割をしています。

物理的な応用としては、非平衡統計力学や多体問題で活躍してきます。

この記事では、キュムラント展開を具体的な数式を使いながら丁寧に解説していきます。

モーメント母関数』などが理解できていない場合は下記を先に読んでから読み進めることをオススメします。

特性関数・生成関数とは【確率分布の統計量を楽に計算しましょう】m次モーメントなどの統計量は容易に計算できない時があります。そんな時に役に立つのが特性関数とモーメント生成関数です。これらを用いて容易にm次モーメントを導出することが可能になります。詳しくは記事を参考にしてください...

キュムラント母関数・m次のキュムラントの性質

キュムラント母関数とキュムラントについて解説していきます。

ゴールは『なぜキュムラントがありがたい量なの?』という問いに答えられるようになることです。

以下のステップで解説していきます。

  1. キュムラント母関数とは
  2. キュムラントとは
  3. キュムラントとモーメントの関係

 

キュムラント母関数とは

 

キュムラント母関数は以下のように定義されます。

\( K_{M}(\xi) = \log{M(\xi)} \) または \( K_{C}(\xi) = \log{C(\xi)} \)

 

キュムラントとは

 

また、キュムラント母関数が\(xi = 0 \)で解析的であるとき、m次のキュムラント\(\kappa_{m}\)は以下のように定式化されます。

$$ \kappa_{m} = \left.\frac{d^{m} K_{M}(\xi)}{d \xi^{m}} \right|_{\xi = 0} $$

または、

$$ \kappa_{m} = \frac{1}{i^{m}} \left.\frac{d^{m} K_{M}(\xi)}{d \xi^{m}} \right|_{\xi = 0} $$

 

また、m次のキュムラント\( \kappa_{m} \)を用いてキュムラント母関数\(K_{M}(\xi) \)は以下のように書けます。

$$ K_{M}(\xi) = \sum_{m = 1}^{\infty} \frac{\kappa_{m}}{m !} \xi^{m} $$

物理ではm次のキュムラントを以下のように書くことがある

$$ \kappa_{m} = \langle x^{m} \rangle_{c} $$

 

m次のキュムラントとm次のモーメントの関係

 

キュムラント母関数の定義からモーメント母関数(積率母関数)は以下のように書けます。

$$ M(\xi) = e^{K_{M}(\xi)} $$

モーメント母関数\(M(\xi) \)は、m次モーメント\(\nu_{m}\)を使って以下のように展開することができます。

$$ M(\xi) = \sum_{m=0}^{\infty} \frac{\xi^{m}}{m!} \nu_{m} $$

これをキュムラント母関数とモーメント母関数の関係式に代入します。

$$ \sum_{m=0}^{\infty} \frac{\xi^{m}}{m!} \nu_{m}  =  \sum_{n = 0}^{\infty} \frac{[K_{M}(\xi)]^{n}}{n!} $$

キュムラント母関数が、以下のように書けるので

$$ K_{M}(\xi) = \sum_{m = 1}^{\infty} \frac{\kappa_{m}}{m !} \xi^{m} $$

代入して、\( \xi \)の項で係数比較すると

以下のような関係式が導けます。

$$ \nu_{1} = \kappa_{1} $$

$$ \nu_{2} = \kappa_{2} + \kappa_{1}^{2} $$

$$ \nu_{3} = \kappa_{3} + 3 \kappa_{2} \kappa_{1} + \kappa_{1}^{3} $$

のように、m次のモーメントは、m次までのキュムラント多項式で表現することができます。

逆にm次のキュムラントは、m次のモーメント多項式で表現することができます。

$$ \kappa_{1} = \nu_{1} $$

$$ \kappa_{2} = \nu_{2} – \nu_{1}^{2} $$

2次のキュムラントは分散ですね。

$$ \kappa_{3} = \nu_{3} – 3 \nu_{2} \nu_{1} + 2 \nu_{1}^{3} $$

 

実は、ガウス分布の場合は3次以上のキュムラントは全て0になります。

例えば、ガウス分布のモーメント母関数を多項式で展開するときに、m次のモーメントで展開した場合(モーメント展開)は、どの次数も0にはならず項は続いていきますが、

m次のキュムラントで展開(キュムラント展開)した場合は、2次の項までの展開で終了します。

つまり、キュムラント展開は低次のモーメントを用いて確率分布の情報(モーメント母関数)の情報をより有効的に表現できるということです。

 

参考資料

 

参考サイト

特性関数・生成関数とは【確率分布の統計量を楽に計算しましょう】m次モーメントなどの統計量は容易に計算できない時があります。そんな時に役に立つのが特性関数とモーメント生成関数です。これらを用いて容易にm次モーメントを導出することが可能になります。詳しくは記事を参考にしてください...

参考文献

 

まとめ

 

キュムラントは、確率分布を特徴つける重要な量です。

非平衡統計力学や多体問題などさまざな分野に応用されています。

また、統計の問題でもよく出てくるので手を動かしながら理解してください。

物理数学』をより詳しく学びたい方は下記を参考にしてください

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