ラグランジュの未定乗数法を具体的な例題で徹底解説
本記事では、制約付き極値問題を解くための手法である、ラグランジュの未定乗数法について説明します。
ラグランジュ未定乗数法の目的

まずは、ラグランジュの未定乗数法の目的を整理します。
ラグランジュの未定乗数法の目的
\(n\)変数関数の\(m\)個の等式制約\(g_{1}(x_{1}, \ldots, x_{n}) = \cdots = g_{m}(x_{1}, \ldots, x_{n})\)のもとで、\(f(x_{1}, \ldots, x_{n})\)が極値を取る点を求める
よく教科書の説明では、以下のように二変数のケースが説明されることが多いですが、一般に複数の変数からなる関数、複数の等式制約があるケースにも適用できます。
ラグランジュの未定乗数法の目的|二変数の場合
2変数関数の等式制約\(g(x, y) = 0\)のもとで, \(f(x, y)\)が極値を取る点を求める
ラグランジュの未定乗数法とは

ラグランジュの未定乗数法とは、以下の定理を利用して、先ほど紹介した等式制約下の極値問題を解く方法です。
定理 : ラグランジュの未定乗数法
\begin{align} &L(x_{1}, \ldots, x_{n}, \lambda_{1}, \ldots, \lambda_{m}) \\ &= f(x_{1}, \ldots, x_{n}) ~- \sum_{i=1}^{m} \lambda_{i} g_{i}(x_{1}, \ldots, x_{n}) \end{align}
とおくと、\(g_{1}(x_{1}, \ldots, x_{n}) = \cdots = g_{m}(x_{1}, \ldots, x_{n})\)のもとで、\(f(x_{1}, \ldots, x_{n})\)が極値を取る点は、以下を満たす。
$$\frac{\partial L}{\partial x_{1}} = \cdots = \frac{\partial L}{\partial x_{n}} = \frac{\partial L}{\partial \lambda_{1}} = \cdots = \frac{\partial L}{\partial \lambda_{m}} = 0$$
または、以下を満たす。
$$\sum_{i=1}^{m} \lambda_{i} \frac{\partial g_{i}}{\partial x_{1}} = \cdots = \sum_{i=1}^{m} \lambda_{i} \frac{\partial g_{i}}{\partial x_{n}} = 0$$
\(L(x_{1}, \ldots, x_{n})\)はラグランジュ関数と呼ばれます。
これも、教科書だと二変数の場合がよく紹介されるので、理解しやすいように二変数の場合の定理も以下に示します。
定理|二変数の場合
$$L(x, y, \lambda) = f(x, y) – \lambda g(x, y)$$
とおくと、\(g(x, y)\)のもとで、\(f(x, y)\)が極値を取る点は、以下を満たす。
$$\frac{\partial L}{\partial x} = \frac{\partial L}{\partial y} = \frac{\partial L}{\partial \lambda} = 0$$
または、以下を満たす。
$$ \frac{\partial g}{\partial x} = \frac{\partial g}{\partial y} = 0$$
ここからは、例題を通して理解を固めましょう!
ラグランジュの未定乗数法の例題

具体的には、以下の手順で等式制約下の極値問題を解くことができます。
- ラグランジュ関数を求める
- 各変数とラグランジュ乗数の偏微分を求める
- 連立方程式を解く
実際に、例題を使って詳しく解説します。
例題について
今回は、以下のような例題を考えます。
例題
体積が一定値\(V\)の直方体のうち、縦、横、高さの三辺の長さの和が最小となるものを求めよ。
この問題を解いていきます。
① : ラグランジュ関数を求める
まずは、問題を数式で表します。
縦、横、高さをそれぞれ \(x_{1}, x_{2}, x_{3} \)とすると、三辺の長さの和 \( f(x_{1}, x_{2}, x_{3}) \)は、以下のように表せます。
$$ f(x_{1}, x_{2}, x_{3}) = x_{1} + x_{2} + x_{3} $$
次に、体積が一定値 \(V = x_{1} x_{2} x_{3} \)という制約条件を以下のように等式制約条件に変換しましょう。
$$ g( x_{1}, x_{2}, x_{3} ) = x_{1} x_{2} x_{3} – V = 0 $$
ここまでの結果からラグランジュ関数は以下のように表せます。
$$ L( x_{1}, x_{2}, x_{3}, \lambda ) = x_{1} + x_{2} + x_{3} ~- \lambda ~( x_{1} x_{2} x_{3} – V) $$
② : 各変数とラグランジュ乗数の偏微分を求める
次にラグランジュ関数\(L( x_{1}, x_{2}, x_{3}, \lambda )\) の偏微分を求めると以下のようになります。
\begin{align} \frac{\partial L }{\partial x_{1}} &= 1 ~- \lambda x_{2} x_{3} \\ \frac{\partial L }{\partial x_{2}} &= 1 ~- \lambda x_{1} x_{3} \\ \frac{\partial L }{\partial x_{3}} &= 1 ~- \lambda x_{1} x_{2} \\ \frac{\partial L }{\partial \lambda} &= x_{1} x_{2} x_{3} ~- V \end{align}
連立方程式を解く
極値となる\( (x_{1}, x_{2}, x_{3} ) \)を見つけるために以下の方程式を求めます。
\begin{align} &1 ~- \lambda x_{2} x_{3} = 0 \\ &1 ~- \lambda x_{1} x_{3} = 0 \\ &1 ~- \lambda x_{1} x_{2} = 0 \\ &x_{1} x_{2} x_{3} ~- V = 0 \end{align}
この方程式の解は、\( x_{1} = x_{2} = x_{3} = V^{1/3} \)となり、極値は\( f(x_{1}, x_{2}, x_{3}) = 3 V^{1/3} \) となります。
また、\(f(x_{1}, x_{2}, x_{3})\)は、一辺を無限に長くすることで、3辺の和を体積一定のまま無限にすることができるため、最大値は存在しません。
すなわち、\( f(x_{1}, x_{2}, x_{3}) = 3 V^{1/3} \)は最小値となります。
結局、3辺の値が最小になるのは立方体というオチでした!
まとめ
本記事では、ラグランジュの未定乗数法とその使い方を説明しました。
もう一度、ラグランジュの未定乗数法を使用するプロセスを以下にまとめます。
- ラグランジュ関数を求める
- 各変数とラグランジュ乗数の偏微分を求める
- 連立方程式を解く
様々な場面で出てくるので、確実に理解しましょう。

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