行列の相似変換(定義・性質)
本記事では、行列の相似変換の定義と性質を簡単に紹介します。
『相似変換?』という方は、本記事を読み定義と性質を理解しましょう。
相似変換の定義
まずは、相似変換の定義を説明します。
定義(相似変換)
正方行列\(A\)に対して、正則行列\(S\)を利用した\(S^{-1} A S\)の変換を相似変換という。
ある正則行列\(S\)を用いた相似変換によって結ばれる二つの行列を相似であるという。
定義から明らかなように相似変換は変換の前後で行列のサイズを変えません。
相似変換の性質
相似変換の重要な性質として、相似変換の前後で固有値を不変に保つという性質があります。
以下のように形式的に定義します。
定理(相似変換の性質)
行列の固有値は相似変換によって不変となる。具体的には、正則行列\(S\)に対して\(\tilde{A} = S^{-1} A S\)するとき、\(A \mathbf{x} = \lambda \mathbf{x}\)かつ\(\mathbf{x} \neq \mathbf{0}\)ならば、\(\tilde{\mathbf{x}} = S^{-1} \mathbf{x}\)に対して\(\tilde{A} \tilde{\mathbf{x}} = \lambda \tilde{\mathbf{x}}\)かつ\(\tilde{\mathbf{x}} \neq \mathbf{0}\)が成り立つ
以下のように簡単に証明することができます。
\(A \mathbf{x} = \lambda \mathbf{x}\)は、以下のように書き直すことができます。
\begin{align} &(S^{-1} A S) (S^{-1} \mathbf{x}) = \lambda (S^{-1}\mathbf{x}) \\ \Leftrightarrow &\tilde{A} \tilde{\mathbf{x}} = \lambda \tilde{\mathbf{x}} \end{align}
ゆえに固有値が保存することがわかります。
参考文献・おすすめ参考書
基本的は下記の記事で紹介している参考書を利用して本記事を作成しました。
紹介している参考書はどれもおすすめなのでぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では、行列の『相似変換』の定義と性質を簡単にまとめました。
実際、相似変換の概念は、応用上たびたび現れるのでこのタイミングで理解しておきましょう。
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